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技術コラム 第7回目視では違うのに、なぜ測定値は同じなのか?

2台のディスプレイを比較したとき、「目で見ると、明らかに違って見える」
ところが測定してみると、「輝度も色度も、ほとんど同じ」
このような経験はないでしょうか。

反対に、測定値には差があるのに、実際に見比べてみると違いがよく分からないこともあります。

このような場合、まず確認すべきなのは、測定方法や測定精度に問題がないかという点です。

測定条件、校正状態、測定位置、測定径、距離、角度、再現性などが適切でなければ、本来ある差を正しく捉えられない可能性があります。

ただし、それだけですべてを説明できるわけではありません。

測定方法や精度を十分に管理しているにもかかわらず目視差が残る場合、
「測定器が測っているもの」と「人が見て判断しているもの」が一致していない
可能性があります。

今回は、この二つの観点から考えてみます。

まず確認したいのは、測定方法と測定精度
「目では違うのに測定値が同じ」という場合、
最初から「人の目と測定器は違う」と結論づけるのは適切ではありません。

まず、本当に正しく測れているのかを確認する必要があります。

例えば、

測定器は適切に校正されているか
測定位置は同じか
測定距離・角度は一定か
測定径は適切か
フォーカス条件は適切か
測定器の分解能は十分か
繰り返し測定した際の再現性はあるか
異なる測定器を使用している場合、器差は把握されているか
といった点です。

特にディスプレイでは、わずかな測定位置の違いや測定範囲の違いによって、結果が変化することがあります。

また、小さな局所差を見ようとしているのに測定径が大きければ、その差が平均化されてしまう場合もあります。

したがって、
目視差を議論する前に、その差を捉えられる測定方法・測定精度になっているか
を確認することが非常に重要です。

しかし、測定方法と精度だけが原因ではない
一方で、
校正も問題ない。
測定条件も統一されている。
再現性も十分にある。

それでも、
「目で見ると違うのに、測定値はほぼ同じ」
ということがあります。

ここで重要になるのが、
「現在測っている物理量が、本当に目視差に対応しているのか?」
という考え方です。

例えば、輝度と色度だけを測定していたとしても、人が感じている違いが鮮鋭度やむら、ぎらつき、反射であれば、輝度・色度の測定値には大きな差が現れない可能性があります。

つまり、
測定精度が高くても、測る項目が適切でなければ、目視差を説明できない
ということです。

測定器は「決められた範囲」を測っている
測定器は、決められた位置、角度、距離、測定範囲における特定の物理量を測定します。
例えば、ディスプレイ中央部の輝度を測定した場合、得られるのは、その測定範囲における明るさの値です。
一方、人がディスプレイを見るときは、画面中央の一点だけを見ているわけではありません。

人は、

画面全体の明るさ
黒の沈み方
色のバランス
輪郭
むら
反射
ぎらつき
表面の質感
など、複数の情報を同時に見ています。

そのため、中央部の輝度や色度がほぼ同じでも、画面全体としての見え方が異なることがあります。

平均値では、局所的な差が消えることもある
ディスプレイには、

細かな輝度むら
色むら
ぎらつき
輪郭のにじみ
局所的な明暗差
などが生じることがあります。

測定範囲が広い場合、このような局所的な変化が平均化され、数値上では差が小さくなることがあります。

しかし、人の目は、
むらの境界、規則的な模様、局所的に明るい部分、細かなぎらつき、文字や線の輪郭などを敏感に捉えることがあります。
そのため、測定値が同じでも、一方だけが

「むらっぽい」

「ぼやけている」

「ぎらついている」

と感じられる場合があります。

ここでも重要なのは、

測定値そのものだけでなく、測定範囲や空間分解能が目的に合っているか
を見ることです。

「測定値が同じ」は、「表示品質が同じ」ではない
例えば2台のディスプレイを比較して、輝度と色度がほぼ同じだったとします。
それでも見え方が違う場合には、別の特性が影響している可能性があります。

例えば、

黒輝度とコントラスト
輝度・色度の均一性
低輝度階調
鮮鋭度・MTF
表面反射
ぎらつき
視野角特性
時間的な輝度変動
などです。

つまり、

「測定値が同じ」ということは、今回測定した項目では差が小さかった
ということであり、表示品質全体が同じという意味ではありません。

「測れる精度」と「何を測るか」は両方重要
ディスプレイ評価では、

測定方法・測定精度と測定項目の選択
の両方が重要です。
どちらか一方だけでは、十分ではありません。

例えば非常に高精度な輝度計を使用したとしても、目視差の原因が鮮鋭度であれば、輝度測定だけでは説明できません。
逆に、評価項目としてMTFが適切であっても、測定条件やフォーカス、解析条件が不適切であれば、信頼できる結果にはなりません。

したがって、
正しく測ること」と「正しいものを測ること」
この両方が必要になります。

測定環境と目視環境にも注意する
測定は暗室で行い、目視評価は明るい室内で行っている場合、結果が一致しにくくなることがあります。
周囲の照明が画面に反射すると、

黒が白っぽく見える
コントラストが低下する
色の印象が変化する
といったことが起こります。

さらに、観察距離や角度が変われば、色、明るさ、鮮鋭感の印象も変化します。

そのため、目視結果と測定結果を比較するときには、

周囲の明るさ、照明位置、観察距離、観察角度、表示画像、パネル設定
などを、できるだけ揃えることが大切です。

では、どのような順番で考えればよいのか?
「目では違うのに、測定値が同じ」という場合には、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

1.測定方法・測定精度は適切か
校正、測定条件、再現性、測定径、分解能、器差などを確認します。

2.目視では、具体的に何が違って見えるのか
明るさなのか、色なのか、むらなのか、ぼやけなのか、ぎらつきなのかを検討します。

3.現在の測定項目は、その違いを捉えているか
輝度・色度だけで十分なのか、別の評価項目が必要なのかを考えます。

4.目視と測定の条件は一致しているか
環境、角度、距離、表示条件などを確認します。

この順番で考えると

「測定精度の問題なのか」
「測定方法の問題なのか」
「そもそも測る項目が違うのか」

を切り分けやすくなります。

目視評価と機器測定は、どちらも必要
目視評価と機器測定は、どちらか一方が正しいというものではありません。

目視評価は、
人が実際に感じる違和感や品質差を見つけるために有効です。

一方、機器測定は、
その違いを客観的な数値として記録し、製品間、ロット間、拠点間で比較する
ために必要です。

重要なのは、
目視で違いを見つけ、適切な方法・精度で、その違いに対応する物理量を測定することです。

■ アフロディから一言
「目視では違うのに、測定値が同じ」

このような場合、
まずは測定方法や測定精度が適切かを確認することが非常に重要です。
ただし、それだけで原因が説明できるとは限りません。

測定方法や精度に問題がなくても、
「現在測定している項目が、人が感じている違いを捉えていない」
ことがあります。

ディスプレイ評価では、
正しく測ること。
そして、正しいものを測ること。
この二つが重要です。

アフロディでは、輝度・色度、コントラスト、視野角、反射、鮮鋭度・MTF、ぎらつき、色域、二次元分布などを組み合わせ、

「目では違いが分かるのに、今の測定では説明できない」
という課題に対して、測定方法そのものから一緒に考えるご提案を行っています。

 ■ 次回予告
次回は、
「社内と取引先で測定値が違うのは、なぜ?」を取り上げます。

同じディスプレイを測定しているのに、会社や拠点、測定器が変わると結果が合わない。
その原因となる校正、器差、測定条件、測定方法の違いについて考えていきます。

■ ディスプレイ測定サービスのご案内
https://marketing.aphrodi.jp/a/1H20842C/113

■ お問い合わせはこちら
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アフロディ株式会社では、ディスプレイ評価に関する豊富な経験と測定ノウハウを活かし、お客様の開発・品質評価業務をサポートしております。
ディスプレイの評価のご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

今後ともよろしくお願い申し上げます。