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第13回 技術コラム OLEDとMiniLEDは、何を比べればよいのか?

「OLEDとMiniLEDは、どちらがきれいなのか?」
「スペック表を見ると、どちらも高画質に見える」
「実際には何を比べればよいのか分からない」

このような声を聞くことがあります。

■ まず、表示原理が違います
OLEDは、画素そのものが発光する自発光方式です。
一方、MiniLEDは、液晶パネルの背面に多数の小型LEDを配置し、エリアごとにバックライトを制御する方式です。

この違いによって、

・黒の表現
・ピーク輝度
・ハロー
・均一性
・視野角
・応答特性

などに、それぞれ異なる特徴が現れます。
したがって、
「どちらの数字が高いか」ではなく、「どの性能を、どの条件で比べるか」
が重要になります。

■① 黒はどこまで黒く見えるか
OLEDでは、黒を表示する画素を消灯できるため、非常に低い黒輝度を実現しやすい特徴があります。

一方、MiniLEDでは、バックライトをエリアごとに制御します。
そのため黒表示部分の周囲に明るい表示がある場合、バックライト制御の影響によって、黒部分がわずかに明るく見えることがあります。

ここで重要なのは、
黒輝度だけを見るのではなく、周囲に明るい表示がある状態で、黒がどのように見えるかという点です。

■② コントラストは測定条件で変わる
カタログには「高コントラスト」と書かれていても、コントラスト値は測定方法によって変わります。

例えば、

・全面白と全面黒で測定する
・白黒を同一画面に表示する
・局所的な白パターンを表示する
・実際の映像に近い条件で測定する

といった違いによって結果は変わります。
特にMiniLEDでは、ローカルディミング制御があるため、表示パターンによって黒輝度やコントラストが変化する可能性があります。

したがって、OLEDとMiniLEDを比較する場合には、
同じ表示パターン、同じ測定条件で比較することが重要です。

■ ③ MiniLEDでは「ハロー」も重要
MiniLEDでは、明るい物体の周囲に光がにじんで見えることがあります。
これが一般に「ハロー」と呼ばれる現象です。

例えば、黒背景に白い文字や明るい物体を表示した場合、

・白い部分の周囲が明るく見える
・黒背景が浮いて見える
・明暗の境界がぼやける

といった現象が発生することがあります。
このハローは、

・LEDの分割数
・ローカルディミングの制御方法
・光学設計
・表示する画像

などによって変わります。
そのためMiniLEDでは、単純なピーク輝度だけでなく、暗部と明部が隣接した状態での見え方を評価することが重要です。

■④ 輝度は「最大値」だけを見ない
MiniLEDは高輝度を実現しやすく、HDR表示では大きなメリットがあります。

一方、OLEDも近年は高輝度化が進んでいます。
しかし、ここでも単純な最大輝度だけでは十分ではありません。
例えば、
・小さな白パターンでのピーク輝度
・画面全体を白にしたときの輝度
・高輝度表示を何秒維持できるか
・時間による輝度変化

なども重要です。

つまり、

「何cd/m²出るか」だけでなく、「どの面積で、どのくらいの時間、その輝度を維持できるか」まで確認する必要があります。

■ ⑤ 色域が広い=色がきれい、とは限らない
OLEDもMiniLEDも、広い色域を実現できる製品が増えています。

しかし、色域が広いことと、実際の色が自然できれいに見えることは必ずしも同じではありません。

評価では、

・色域
・色度
・白色点
・階調特性
・低輝度域の色再現
・視野角による色変化

なども確認する必要があります。

つまり、

「どれだけ広い色を出せるか」だけでなく、「正確に、安定して色を再現できるか」が重要です。

■⑥ 正面だけでなく、斜めからも見る
ディスプレイは、常に正面から見るとは限りません。

特に車載ディスプレイでは、

・運転席
・助手席
・センターディスプレイ
・大型横長ディスプレイ

など、さまざまな角度から見ることになります。

そのため、

・輝度の変化
・色の変化
・コントラストの変化
・黒の見え方

を角度ごとに評価することも重要です。

正面では良好でも、斜めから見ると見え方が大きく変わる場合があります。

■⑦ 応答特性も「画質」の一部
静止画がきれいでも、動画になると印象が変わることがあります。

動きの速い映像では、

・応答速度
・残像
・オーバーシュート
・動画ぼやけ

なども画質に影響します。

したがって、動画表示を重視する用途では、静止画の輝度や色だけではなく、時間方向の表示性能も評価する必要があります。

■OLEDとMiniLEDは、一つの数字では比較できない
OLEDとMiniLEDを比較するときに重要なのは、

一つのスペックで優劣を決めないことです。

例えば、

黒を見るのであれば黒輝度やBlack Mura、

HDRを見るのであればピーク輝度や輝度維持、

MiniLEDであればハロー、

色を見るのであれば色域・色再現、

実使用を見るのであれば視野角や応答特性、

といったように、目的に応じて見るべき項目が変わります。

つまり、

「どちらが優れているか」ではなく、「その用途で何を重視するか」
を最初に決めることが重要です。

■ 総合的に測ることで見えてくる
実際のディスプレイ評価では、

・輝度
・コントラスト
・黒輝度
・Black Mura
・ハロー
・色域
・視野角
・応答特性
・鮮鋭度

などを組み合わせて評価することで、そのディスプレイの特徴が見えてきます。

アフロディでは、単一項目の測定だけでなく、用途や課題に応じた総合的なディスプレイ評価にも対応しています。

「OLEDとMiniLEDを比較したいが、何を測ればよいか分からない」
そのような場合は、まず、
何を“良い画質”と考えるのかを整理し、その目的に合った測定項目を選ぶことが重要です。 


次回予告
次回は、

【第14回 技術コラム】防眩性を高めると、なぜぎらつくのか?

をご紹介します。
映り込みを抑えるためのAG(Anti-Glare:防眩)処理。しかし、防眩性を高めることで、逆に画面の「ぎらつき(Sparkle)」が目立つことがあります。

次回は、防眩処理とSparkleの関係、高精細ディスプレイでぎらつきが目立つ理由、そしてその定量評価方法について解説します。

あわせて、Sparkleをはじめとする表面品質を総合的に評価するSMS-1000と、持ち運び可能で現場でもSparkle評価ができるSMS-100Sについてもご紹介します。

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