【第14回 技術コラム】防眩性を高めると、なぜぎらつくのか?
ディスプレイの映り込みを抑えるために、AG(Anti-Glare:防眩)処理が広く使われています。
しかし、防眩性を高めると、
「映り込みは減ったが、画面がぎらついて見える」
という別の問題が生じることがあります。
今回は、防眩処理によってなぜ“ぎらつき”が発生するのか、その評価方法についてご紹介します。
■ 防眩処理は、外光だけでなく表示光にも影響する
一般的なAG処理では、ディスプレイ表面に微細な凹凸構造を設け、外光の正反射を拡散させます。
これにより、照明や窓などの映り込みを抑えることができます。
一方、この微細な表面構造は、外光だけでなくディスプレイ内部から出てくる表示光にも影響します。
画素から出た光が表面で局所的に拡散・屈折することで、微小な明暗のばらつきが発生します。
この粒状の明暗変化が、人の目には「ぎらぎらする」「ざらざらして見える」
という印象として感じられることがあります。
この現象が、一般にSparkle(ぎらつき)と呼ばれます。
■ 高精細ディスプレイほど影響が目立つ場合がある
ディスプレイが高精細化すると、画素ピッチは小さくなります。
そのため、AG表面の微細構造と画素構造との関係によっては、Sparkleが目立ちやすくなる場合があります。
つまり、
同じAGフィルムを使用しても、組み合わせるディスプレイによって見え方が変わる
可能性があります。
このため、防眩材料単体だけでなく、実際のディスプレイと組み合わせた状態で評価することが重要です。
■ 防眩性とSparkleはトレードオフになりやすい
表面の拡散性を高めれば、映り込みは低減しやすくなります。
一方で、拡散を強くしすぎると、
・Sparkleの増加
・文字の鮮鋭度低下
・コントラスト低下
・白表示のざらつき
などが生じる場合があります。
つまり、
防眩性を高めれば高めるほど良い、というわけではありません。
重要なのは、「映り込み低減」と「表示品質」のバランスです。
■ 目視だけでは管理が難しい
Sparkleは目視でも確認できます。
しかし、
「どちらが強いのか」
「変更前後でどの程度変わったのか」
「どこまでを許容するのか」
を目視だけで管理することは容易ではありません。
また、観察条件や表示条件によっても印象は変化します。
そのため、材料比較や製品開発では、Sparkleを定量化して比較することが重要になります。
■ SMS-1000による総合的な表面評価
SMS-1000では、ディスプレイとAG表面を組み合わせた状態でSparkleを測定することができます。
さらに、Sparkleだけでなく、鮮鋭度(DOI)や防眩性(映り込み)なども含めた評価が可能です。
そのため、
・AG材料の比較
・表面処理条件の比較
・設計変更前後の評価
・異なるディスプレイとの組み合わせ評価
など、ディスプレイ表面品質を総合的に確認したい場合に適しています。
■ 持ち運んでSparkleを評価できるSMS-100S
Sparkle評価を、より機動的に行いたい場合には最近リリースしたSMS-100Sがあります。
SMS-100Sの大きな特徴の一つは、持ち運びが可能であることです。
据え置き型の測定では、サンプルを測定環境へ持ち込む必要がありますが、SMS-100Sでは測定器を現場へ持ち運ぶことで、
・顧客先でのサンプル評価
・開発現場での比較測定
・大型ディスプレイや移動が難しいサンプルの評価
・複数拠点での評価
・AGフィルムや表面処理条件のその場での比較
など、より柔軟なSparkle評価が可能になります。
特に、「目視では違いが分かるが、その場で数値として比較したい」
という用途では、持ち運び可能であることが大きなメリットになります。
SMS-100Sは、Sparkle評価に特化しながら、必要な場所へ測定器を持っていける機動性を備えた測定システムです。

■ SMS-1000とSMS-100Sの使い分け
測定目的によって、装置の使い分けができます。
SMS-1000
Sparkleだけでなく、DOIや反射特性なども含め、表面品質を総合的に評価したい場合。
SMS-100S
Sparkle評価を中心に、持ち運んで現場や顧客先でも評価したい場合。
つまり、
「総合評価のSMS-1000」と「機動性の高いSparkle評価のSMS-100S」
という使い分けが一つの考え方になります。
■ 防眩性能は「映り込み」だけで評価しない
AG処理の評価では、
どれだけ反射を抑えたか
だけを見るのでは十分ではありません。
防眩性能を高めた結果、
・Sparkleが増えていないか
・文字がぼやけていないか
・コントラストが低下していないか
まで確認する必要があります。
つまり、防眩表面の評価では、
「反射特性」と「表示画質」の両方を見る
ことが重要です。
アフロディでは、SMS-1000/SMS-100Sを活用したSparkle評価をはじめ、防眩フィルムや表面処理による表示品質への影響について、測定・評価方法のご相談にも対応しています。
「映り込みは改善したが、なぜか画面が見にくくなった」
そのような場合は、防眩性だけでなくSparkleという視点から評価することが重要です。
次回予告
次回は、
「色域が広ければ、色はきれいに見えるのか?」
をご紹介します。
色域が広いことと、実際に色が正確で自然に見えることは必ずしも同じではありません。
次回は、色域の広さ・基準色域との重なり・色の正確さという視点から、ディスプレイの色評価について解説します。
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アフロディ株式会社では、ディスプレイ評価に関する豊富な経験と測定ノウハウを活かし、お客様の開発・品質評価業務をサポートしております。
ディスプレイの評価のご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
